映画『紙の月』感想 救いようのないニセモノの恋愛

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 映画『紙の月』の感想です。実際のニュースで女性銀行員が顧客のお金の使い込みをしたという事件があり原作者はそこから着想を得てお金を介在してしか恋愛できない歪さを描こうとしたそうです。

 

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あらすじ

裕福な家庭に育立ちエリートサラリーマンと結婚した女性が若い男性と出会いのめり込んでいくストーリーです。女としてみてもらえる事に喜びを感じて自分を見失い勤めていた銀行からお金を横領して、その男性に使ってしまう。いけない事とわかっていても止められない女性の苦悩を描いた作品です。

 

主演キャスト

梅沢梨花(宮沢りえ)
梅沢正文(田辺誠一)
平林光太(池松壮亮)


映画の感想

この作品での見所は宮沢りえさんの演技無しには出来上がらなかったとおもいます。宮沢りえさんが演じた梨花に多くの女性が共感していたはずです。

逆に男性は梨花の気持ちはあまり理解できなかってのではないかとおもいます。そんな女性しか理解してもらえない役を宮沢りえさんは見事に演じきったとおもいます。

 

世間からは裕福な家の育ちでエリートと結婚し、何不自由なく幸せな生活をしていると世間から思われているが、実は満たされていないといった現実感が元にあっての作品だと思いました。

夫からは見下されて女とは見られず誰も本当に求められていない様は、結婚したことのある女性なら誰もが感じたことのある感情だとおもいます。そして梨花は光太と知り合うのですか、その自由さに、その求められた嬉しさにハマってしまうのもわからなくないです。

 

求められて認められることは現代のSNSに夢中になってしまう事と同じような感覚を受けました。

そして梨花は光太からの愛情を繋ぎ止めるためにお金をかけてしまいます。銀行に勤めていたのもあり、目の前にはお金がいつもある状況で、また元に戻せばいいという気持ちで銀行からお金を盗んでしまいます。

恐ろしいのはもし私がそのような状況にあったら絶対にそんな事はしないとはっきり言い切れないからです。毎日たくさんのお金をみていたら少し麻痺してしまうかもしれないです。こんなにたくさんあるのならあとで戻せばという気持ちもわからなくないです。

でも良心と自分を止めるものです。でも梨花は自分で止める事が出来なくなってしまうのです。一度バレないともっとエスカレートしていき、大胆になっていきます。そして本当にもう戻れないところまで行ってしまうのです。

梨花がそうしている時に、若い光太は他の女性に目移りします。もともとそんな大きな決心も責任感もなく、梨花と一緒にいたのかもしれないです。本気になったのも梨花だけで、人生を壊してしまったのも梨花だけです。もう戻れないから空回りしているはずの梨花の演技をしている宮沢りえさんはなぜか美しく見えます。

 

してしまってることはとてもいけない事となんだけど、家庭という閉じ込められた世界から解放されて男性とお金という手にしてはいけないものだけど、自由を手に入れた女性はもしかしたら美しいのかもしれないです。

もし少し何かが違っていたらもっと梨花は幸せになれたかもしれない。そして誰もが梨花のような境遇なら犯罪に手を染めてしまうかもしれない。そういった人生の小さな歯車を教えてくれた作品でした。

 


まとめ

梨花という役に宮沢りえさんはとても共感する部分があったそうですが池松壮亮さんは全く共感できなかったそうです。

私も原作もドラマ版も観てませんが若い男にあれだけ入れ込む理由も弱く感情移入しづらいところはありました。
この作品で宮沢りえさんは最優秀主演女優賞、池松壮亮さんは新人俳優賞を受賞しました。

それでは以上、『映画『紙の月』感想 救いようのないニセモノの恋愛』でした。